やっぱり2011年はアンドロイドの年になるんだろうなと私は考えています。ソフトバンクのiPhoneに煮え湯を飲まされていたdocomoやKDDIがようやく巻き返しに掛かりandroidスマートフォンを次々と登場させています。
それで見出しの理由ですが、電子書籍におけるAndroidの魅力はやはりAndroidマーケットとdocomoマーケットの連携になると思います。市場として機能しだしたことです。電子書籍をクレジットカードではなく月々の使用料と同時に請求できますし、将来性を考えたときiPhoneの比ではなくなります。iPhoneの場合やはり端末限定のため、ユーザー数というスケールメリットの恩恵が受けにくいという問題がありましたが、徐々にそれは改善していくと思っています。あと一企業の趨勢に依存してしまうという状況も回避できますから安心です。将来性が決して良いとは言えません。今季のユニクロみたいに、毎年ヒットを作り続けるのは容易ではありません。もしヒットが出なければその影響をもろに受けるのもiPhoneアプリの潜在的な問題でした。リスクヘッジとしてもAndroidマーケットへの期待は大きくなる一方です。
でおそらくAndroidアプリの中でもっとも恩恵を受けるのは電子書籍分野だと思っています。単価も他のアプリと比べても低くないですから。マーケティング効果が最も高く採算がとりやすいんです。
電子書籍のメリット
で、まずユーザー視点に立ってスマートフォンで電子書籍を購入するメリットを整理したいと思います。
★携帯性
やっぱりスマートフォンのような小さな端末に何十冊と電子書籍を入れて持ち歩けるというのは、何よりのメリットだと思います。
★データとして扱えること
たとえばWEB検索、辞書検索などは紙の書籍には出来ないポイントだと思います。
結局、電子書籍に求められていることはこの二つだけなんだと思います。それ以外の様々な特徴はありますけれど、この二つを満たすことが電子書籍が果たすべき重要課題だと思います。これが機能していない電子書籍は電子書籍ではないと思います。
あとは端末の特性に合わせること。データの軽量化とインターフェイスのシンプル化が必要になってくると考えています。つまりユーザビリティを追求していくことだと考えます。
そういうことで考えると、iPadはちょっと違うなって思うんです。電子書籍元年の黒船だと言われましたけど、そうじゃないよなって今でも感じます。雑誌をよく買う人や、書籍のレイアウトをそのままで表示したい人にはメリットはあると思いますけど、なにせでかいですし、それに重いです。たとえば満員の電車通勤中にiPadを広げるという姿を想像することが出来ないのですよね。だからやっぱりスマートフォンで電子書籍の道を模索するのが正しい選択でありスマートフォンが電子書籍業界の中核になっていくと思います。あの小さな端末に何百冊も本が入っていてそれらの情報が有機的に結合している。イメージしやすいですよね。正しい理想図なんだと思います。
あと私の所感になりますが、紙で読むよりもスマートフォンで読む方が小説は読みやすいです。だからなにかのきっかけがあればあっという間に電子書籍は広まるだろうと考えています。そしてそれは時間の問題なんじゃないかなって思っています。
Androidで電子書籍アプリを盛り上げる方法
ということで、電子書籍の有用性がご理解いただけたところで、本題に入ります。やっぱり大事なのは、どうやったらスマートフォン用電子書籍が盛り上がるかなんですよね。これはけっこう大事です。というか切実です。とりあえずAndroidマーケットを通してなにが出来そうか考えてみたのでご覧ください。
- Android文学賞をつくる。
- Android電子書籍アプリ専門のレビューサイトをつくる。
- Android作家を多数輩出する。
ざっと上の三つを考えてみました。
1はAndroid.comに一回問い合わせするのが良さそうな感じです。もしかしたら動いている会社があるかもしれませんが(多分そのときは私の想定していたものとまるで違う文学賞になっている気がしないでもないですが…)、まあだったらそのときはスマホ文学賞でも立ち上げようかなと思いますが。
2の目的はAndroidマーケット内に電子書籍アプリの独自の文化を創ることです。おそらく各社すでに動いているはずですから、局所的な文化は生まれるはずです。出版社単位ではなく、マーケット単位で文化を統括する必要があります。時間があれば作りたいけど私には無理そうです。誰か作ってくれないかな…なんて思ってます。
3は1と2の目的を果たすのに必要な人材です。ようはどれだけAndroidマーケットに才能ある人材を集められるかが、活性化するためのキーとなります。新しいマーケットの主役には新しい人材というのはたぶん鉄則でしょうね。これは私のカエデブックスが頑張って作品とともに輩出できたらいいなと考えています。
Android小説の方向性
もしライトノベル、ケータイ小説、などの若者受けするジャンルをコンテンツの柱にしてしまったら、おそらく広大な市場の可能性を持ったマーケットの恩恵を受けられなくなると私は考えてます。やはり新たな市場に挑戦するからこそ、誰にでも受け入れられるコンテンツとはなにかを考える必要があると思います。
携帯電話ユーザーが2011年を契機に、ガラケーからスマートフォンに端末を切り替えていくと考えます。スマートフォンはPCの延長ですから、無線LANによって家庭内にLAN構築された端末の一つになるでしょう。ちなみに2010年あたりから、インターネットが表のメディアとして認知されるようになりました。おそらくこれは2ちゃんねるのまとめブログ群が世論を集約した効果によるもので、WEB2.0思想が体現した現象といっても過言ではないと思います。
この二つの生活スタイルの変化から導き出されることは、電子書籍アプリの発展という二文字なんです。おそらく日本のコンテンツ産業はスマートフォンアプリによってもう一度活性化します。国民の多くの人に瞬く間に知られ、一斉にダウンロードされるのは決して遠くないと思うんですよね。それで、ジャンルとしてもっとも起爆性が高いのが小説ジャンルなんです。なぜなら電子書籍はゲームやアニメのように端末の性能の影響を受けないからです。そしてもっとも情緒を刺激するコンテンツなのです。それ以外で恩恵を受ける可能性があるのは音楽業界でしょうか。だから、誰にでも受け入れられるコンテンツ作りというのは大事なんです。もちろんジャンル面だけではなく、質、ブランディングも関わってきますけどね。もしコンテンツ収入が増大すればDocomoさんとか端末使用料を下げてくれたりしないかななんて勝手に期待するのもありだと思います。コンテンツ収入でインフラが整うなんてある意味理想的な社会図だと思うんですけどね。
問題点
ただAndroid端末はあれですね。先週有楽町のビックカメラ実機を触ってみたのですが、Android端末はiPhoneと比べると操作性やレスポンスにかなり難があると感じました。iPhone端末からユーザビリティについて学ばなかったのかな? まあでも、たぶんこれは徐々に改善されていくだろうと思います。じゃなかったらほんと恐ろしい(笑)
いやほんと東芝さんやシャープさんや色んな日本企業が集まって技術協力したり情報交換していくべきだと思います。Androidを採用している時点で一社オンリーの技術は生まれないわけで、問われるのは開発者の習熟度だけだから。クオリティのみが問われます。サムソンのギャラクシーに負けている日本企業って何って疑われてしまいますよ。ちなみにギャラクシーには当初お財布携帯機能もワンセグ機能持ついていたそうです。でもドコモさんが外してしまったんだそうです。いや、日本企業を守りたいのは分かるんですけどね。…
小説以外のジャンルにおける電子書籍の可能性
ジャンル外になるんですけど、電子書籍って、学術書や学習参考書系の教育系の出版社は電子書籍に進出するとかなり効果が高いんじゃないかなと思っています。
そのためにはスマートフォンではなくiPadのような大きな端末じゃないと駄目ですけどね。孫さんが教科書などの教育分野の電子書籍化の話をしていましたけど、ほんと教育分野はそうなるべきだと思います(ほんとはどの分野もそうですけど)。ルーズリーフノート(もちろんここは手書きするため)と、電子書籍端末(ノートをスキャンするためのカメラ機能付き)を持ち歩くだけで良くなれば便利だろうななんて思います。そうすりゃ教育コストが下がって高校の授業料無償化なんて可能になるだろうになんて思ってしまいます。ただ教育現場のことを考えると、端末の耐久性はもっと追求して欲しい。教育現場に通信回線はいらない気がしますね。一斉に各クラス何百人が使い始めたら回線が持たないと思います。有線のネットワーク回線で十分だと思いますから。そういう意味ではiPadは教育現場で使うのは論外だと思う。電子書籍端末を作らせるならやっぱり日本企業に作って欲しいしね。中学、高校からで、最低三年間は使用できるような耐久性を持ってもらわないと正直困るでしょう。
あと大学機関が発行する学術書も、低価格化に繋がるんじゃないですかね。もし哲学書関連が電子書籍化するんだったら買いますよ。哲学書は引用が命ですから、電子書籍じゃないと哲学体系を維持出来ないと思うんですよね。英訳もgoogle翻訳で一発変換できると面白そうだなって思ったり。学生さんには英作文をやらせればいいと思います。Google翻訳から正しい日本語文、英語文を作るトレーニングをすると学習効果は高そうです。もうほんとに暗記型の、社会に対する有用性(貢献度)の低い教育はやめた方がいいと思います。ちなみに私は小学校までは紙と鉛筆、ノート、教科書、ランドセルでいいと思いますけどね。
今後のAndroid用電子書籍アプリに欲しい機能
- レビューを電子書籍に書き込める機能……たとえばTwitterやmixi、Facebookに連携出来ると嬉しい。あと画像投稿が出来るとどんどんイメージが膨らんでいくと思う。セカイカメラみたいに描写毎に漫画絵とか追加できるようになると凄く面白くなりそう。
- 朗読出来る機能……朗読少女的な感じで。まああれば得かなという程度です。連携でもいいのであったら嬉しい機能ではあります。
- 継続課金……雑誌や連載物が可能になるので。
- 自動生成型の関連リンク機能……トラックバックみたいなものです。個人ブログから出来ると嬉しい。
- 翻訳機能…Googleの翻訳機能みたいなアプリと連携できるようになると凄いと思う。
たとえば誰かが電子書籍をつくって、そこから漫画や映像が誕生していくと面白いなって思います。作品を、Googleマップやセカイカメラと連携させるのも面白そうだなって思う。同時読みの世界記録ギネスブック申請とか、プロモーションの幅もこれからどんどん広がると思います。
iPhoneアプリの問題点
で、なんでここまで読んでiPhoneアプリじゃないのって思った方多いと思います。それはつまり上記のようなアプリを完成させても採用されるか分からないからです。せっかく開発資金を集めて開発しても、審査を通らなければ何の意味もありません。iPhone アプリって、開発者泣かせなんだそうです。せっかく面白いアプリを作っても審査が厳しいらしいです。もちろん私は開発者で はないのでどの程度影響を受けるのか分かりませんが、そうすると開発者も無難な申請しかしなくなる。つまり当たり障りのないアプリしか生まれなくなるそう ですよ。現に今のiPhoneアプリ開発現場はそんな感じらしいです。そういう空間では新しい文化は生まれようがないです。ある程度の自由が保証されてい ることが発展に不可欠なんです。人と金はもっともルールが緩いところに集まりますから。ジョブスさんが空席の間に問題点をリサーチして改善しておかないと、これからけっこうきつくなるんじゃないかなと思ってます。諸行無常という訳 じゃないですけど、盛者必衰の理です。マイクロソフトみたいな運営体制にシフトしないと厳しいんじゃないかなと思います。iPhone4の電波問題で決し て世論が思い通りになる訳じゃないことが分かったと思います。
今後の予測
おそらくこの1年でAndroidの勝負の年になると思います。おそらく日本でもこの2年以内で(早くて年内)AndroidユーザーがiPhoneユーザーを上回ると思います。ただ、やっぱり操作性というかレスポンスがなあって感じですね。これでもうスマートフォンはいいやってなると、また何年間か留保期間が必要になる。まあ一番手っ取り早いのがdocomoがiPhoneを採用することなんでしょうけど。そうすると日本の携帯メーカーが死んでしまいますのでやらないでしょう。KDDIは採用するかもしれませんが。電子書籍アプリは1年後ぐらいから脚光を浴びはじめるんじゃないかなといちおうは予測しております。月刊ジャンプスクエアが電子書籍化しましたけど、あれが週刊少年ジャンプだったら、もっと大きなインパクトだったでしょうね。ようするに化けるも化けないもコンテンツ次第ってことです。着実に紙から電子への移行は始まっています。